診察

ボトックス注射による発汗抑制

脇を嗅ぐ男性

こうした多汗症に高い効果を及ぼす治療法として、ボトックス注射が挙げられます。
ボトックス注射は、汗を多くかく部位に注射をすることで、汗の分泌量を減少させることができます。
ボトックス注射は、いまやどの美容外科でも行われる方法であり、手軽で手術後も残らないところが魅力となっています。
ボトックス注射とは、カビの一種であるボツリヌス菌が生成する、ボツリヌス毒素を利用した治療法です。
ボツリヌス毒素は、非常に強力な毒であり、0.7マイクログラム程度で人一人を殺傷することが出来るともいわれています。
このボツリヌス菌によるボツリヌス症は、国内でも毎年数件の被害が報告されており、主に運動神経の麻痺や嘔吐、下痢などの症状が現れるものとされています。
ボツリヌス菌はハチミツの中にも入っている事があり、抵抗力の低い乳幼児にハチミツを食べさせると、体内でボツリヌス菌が繁殖してしまい、ボツリヌス症を引き起こす事もあるのです。
そんなおそろしい菌を利用したボトックス注射ですから、利用をためらってしまう人も多くいます。
しかし、治療に使用するボトックス注射には、毒性は排除して生成されています。
ボトックス注射をしても、健康被害をこうむることは無く、治療を受けた後も体調に変化はありません。
こうしたボトックス注射は、毒性はないものの、ボツリヌス毒素が持つある作用を利用し、整形外科での施術に役立てられます。
その作用とは、神経の働きを阻害することにあります。

ボツリヌス症にかかると、運動神経の麻痺が発生しますが、この作用はボツリヌス毒素のもつ神経が、筋肉へと伝える伝達物質の作用を抑制するために引き起こされます。
そのため、このボトックス注射を行なうことで、筋肉の働きを抑制することができるのです。
整形外科では、ふくらはぎや太ももにこのボトックス注射を行なうことで、筋肉の作用を抑え、筋肉量を減らすことができます。
筋肉量を減らすことで、足を細くすることができるため、手軽なダイエットが行えるのです。
他にも、顔の整形を行なう時にも使用され、顔の筋肉に注射することで、顔の筋肉によって発生していたシワを伸ばす事ができます。
注射を行なうだけでシワが取れるため、手軽な美容整形として利用できるのです。

ボトックス注射が多くの整形外科などで利用されているのは、何も美容に関わることばかりではありません。
多汗症の患者にこのボトックス注射を行なうことで、汗腺の働きを抑えこむことができるのです。
汗を分泌させる作用の神経伝達物質として、アセチルコリンと呼ばれる物質があります。
アセチルコリンは、交感神経の働きによって多く分泌されます。
交感神経は、人が緊張している時や、興奮した時に分泌されるものです。多汗症の人が、強いストレスを感じた時に大量の汗をかいてしまうのは、こうした神経による働きが大きいのです。
ボトックス注射に含まれるボツリヌストキシンと呼ばれる蛋白質は、こうしたアセチルコリンの分泌を抑える作用もあります。
そのため、多汗症の人がストレスを感じた場合にも、汗の量を抑える事が可能なのです。

こうしたボトックス注射による治療法は、傷跡も残らないため、傷跡を気にする女性の患者さんが多く利用します。
細い注射針を使用しての治療となるため、切開を行なう事もなく、傷跡が残ることはないのです。
さらに、治療時間も短いのが特徴であり、10分から20分程度で手術を終えることができます。
通常の切開による手術法では、手術時間も長い他、定期的な術後の検診や抜糸などによって、度々病院に訪れなければなりません。
人によっては、仕事などが忙しいため、なかなか頻繁に病院へ足を運ぶことができない人もいるでしょう。
こうしたボトックス注射であれば、数カ所注射を行なうだけで治療は終わるため、検診などを行なう必要はなく、時間を取りにくい人でも利用することができるのです。
多汗症に煩わされていても、なかなか病院に行く事ができないといった人でも、手軽に治療を受けられるのが、この治療法の最大のメリットなのです。